初冬の朝

二十歳の頃に出会った詩です。※
 
     生きてゆく力がなくなるとき
   死のうと思う日はないが
   生きてゆく力がなくなることがある
   そんなときお寺を訪ね
   わたしはひとり
   仏陀の前に坐ってくる
   力わき明日を思うこころが
   出てくるまで坐ってくる

たしかに、死にたいとまでは思わなくても、生きる気力が無くなるときがあります。
結果を出そうとして、焦れば焦るほど、空回りする。
噛み合わないファスナーのように、ひとつズレると全てが狂ってゆく。
そんなときは、この詩をつぶやいてみます。

ああ、今はエネルギー不足なんだ。
充電が必要なんだなと。
そう考えると、少しだけ気が楽になります。

誰かを納得させるためのつじつま合わせ。
自分をよく見せようとする虚栄心。
からっぽな自分を恥じる気持ち。
わたしがつらいときは、およそこんなもので、こころが埋まっています。

簡単ではない人生。
せめて、余計な荷物は置いてゆこう。
次の一歩を踏み出すことだけを考えよう。
疲れたら、力が満ちてくるまで待っていよう。

ささやかな誓いを立てた、初冬の朝です。

坂村真民『詩集 念ずれば花ひらく』サンマーク出版

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